こんな傑作に巡り会えて良かった。
「人間関係のトラブルの大半は、恋愛がらみか金銭がらみだ。
その二つさえなければ、ずいぶんと世の中は平和になるに違いない」
「多分天也は、人間が好きで、人生そのものを
愉しんでいたんだなぁって思うよ。
特に遊びにいったりとかそういうことしなくてもさ。
日々の生活をとことん楽しめるやつで」
「誰からも好かれる彼に選ばれたことを。
人を、人生を慈しむ彼が、他の誰でもなく悠里を選んだことを」
「天也は笑う。顔立ちは普通なのに、笑顔は極上だ。
こんなー邪気のない笑顔を浮かべる人を、悠里は他に知らない」
「ルナ・レインボウって、知ってる?」
「アフリカのさ、ビクトリアの滝なんかで見られるらしいんだよ。
太陽じゃなくて、月の光で現れる虹。
とびきり明るい満月の夜にだけ」
うん。涙する。
それも、穏やかで優しい涙があふれる感じに。
天也の天性の性格が素敵でたまらない。
きっと、自分はそんな人物になれないと思うし
近くにそんなひとがいたら異性でも同性でも惹かれると思う。
人を、人生を慈しむ生きかたをするひと。
素敵だなっておもう。
慈しむかぁ・・・。できるかな。
「死んじゃったら終わりだよね、ホントに」
「本当は、バレるのが恥ずかしいことなんじゃなくて、
行為そのものが恥ずべきものなのだ。
あんたはすでに恥ずべき行為をしている。
その段階で、社会的に糾弾されて当然なのだ」
「今はハッピーマンデーで、体育の日は来週の月曜だから」
「そうか・・・。今日はハッピーじゃないのか」
ほ〜。こういう展開なのか。
驚愕な展開はおもしろい。
ミステリーは読まないほうだけど
こういう種類のミステリーはおもしろい。
(殺人事件じゃないもの)
ネタバレになってしまうので
感想をなかなか書きづらいのだけど
イニシエーションラブ、リピートの次に・・・この本を手に取ってみてくださいな☆
ハッピーマンデー、ハッピーじゃないんだな。
こいつらの脆弱な世界を、滅茶苦茶にぶち壊してやる!
「お兄ちゃんは私に指一本触れません。
二段ベットの上と下で、私とお兄ちゃんはいつも別々に眠ります。
私達は本当にいろいろなことに気づかないふりをしなければいけません。
悪くない目にかけている眼鏡のことや、色気のないスウェットのことや、いろいろ」
「相手の気持ちを考えて不安にならないなんて、
今までどれだけチヤホヤされてきた人生だったのかな」
「あたしが昔読んだ少女漫画か何かに確かこういう台詞があった。
『ぼくは君のために死ねるけど、君のせいで死にたくはないよ』」
「それはたとえば愛情関係なんかよりもずっとずっと確実なつながりに思える。
永遠の愛は疑ってしまうけど、永遠の憎しみなら信じられる。」
「愛に理由はなくても、憎しみには必ず原因がある」
「意味なんて一つしかないのだ。
単純な意味を理解できないということは、
理解するのを自分が無意識に避けているということだ」
人に嫌われたくないから、仮面をかぶる。
ペルソナをかぶることは決して悪いことじゃない。
だって、そうじゃなきゃ世の中なんて生きていけるわけないだろ?
この混沌とした世界を生きていくためには
祈りをささげれば神のご加護があるとか
そんなの言われても、現実は甘くなく。
ペルソナの仮面をかぶる相手にはそうすればいい。
ただ、大事に思うひとたちの前でだけはずせばいいのだと思う。
自分を隠すのは消耗する行為だから。
その人の手を離してはいけない。
「この子を守るためなら死んでもいい」
「たとえば、その時、動物園からライオンが逃げ出してきて、
彼女を襲おうとしたら、僕はなんの躊躇もなくライオンの前に立ちはだかり、
彼女のことを守っただろう。それだけは間違いない」
「いくら親しい人がいたとしても、会わなくなったらその人は死んじゃうのよ」
「人はみんな死んじゃうでしょ?
だから、会わなくなった人は死んじゃうのとおんなじなのよ。
たとえ思い出の中で生きていてもね、
いつの間にか死んじゃってるのよ」
「とにかく、わたしが言いたいのはね、
好きな人とは会い続けなくちゃいけないってことなの。
どんなことがあっても」
「いつか、僕は大切な人に出会うだろう。
そして、その人を生かし続けるために、
その手を決して離しはしない。
そう、たとえ、ライオンが襲いかかってきたとしても」
「平凡に生きていくなら洞察力と想像力なんて必要ないんだ。
他人が創り出した常識や価値観に寄り添って生きていったほうがいい。
そのほうが幸せだ」
「たとえば、僕が百歳まで生きたとして、
心の底からいとおしいと思えるような記憶を、
どれだけ持てるのだろう? どうすれば持てるのだろう?」
「秋は『後悔と記憶の季節』なんだそうだ」
「冬、春、夏と過ごしてきた中で犯してきた過ちを後悔し、それを記憶する」
「そうすれば次の過ちが防げるし、
それまでの過ちもなんらかの形で埋め合わせることができるかもしれない。
そして、その記憶を胸に、来たるべき厳しい冬に立ち向かう」
金城一紀さんの本を初めて読んだ。
ひとこと、自分の読みたい作家のひとりになったかな。
言葉の紡ぎ合わせとか
小洒落た台詞とか。
いま季節は秋。
後悔と記憶の季節なんだそうだ。
この季節で急かさずに過ごすことによって
来るべき厳寒の冬をむかえる準備が整うのだろう。
ほんと、秋はセツナイ。
すべての恋する者たちへー
祈りにも似た、絶唱の恋愛文学。
「そういう、まだ実際に起こっていないことに対する
心配なんていうものは、しょせん、すべて妄想なのよ。
自分の中で勝手にあれこれ妄想を
膨らませて不安になるなんて馬鹿馬鹿しい。」
「死んでしまうぐらい嫌なことなんて簡単に
ほうり出してしまってかまわないんだ。
君よりも苦労してがんばっている人がいるんだから君もがんばれ、
なんて言葉は無意味で、
個人の状況を踏まえずに相対化した幸福にはなんの意味もない」
「強いことを言いたがるのは、
本当は強くないからだって、ようやく気付いた」
「泣くことは苦しいが、泣けないよりは泣いてしまったほうがずっと気持ち良かった」
「曖昧なことをびしっと言い当ててくれる本に出会ったときは感激する」
「だけどきっと私はそうすると思います。
今日のこともいつか思い出さなくなる、そして、また、
ほかの誰かをこの人しかいないと信じて好きになる。
あなたに対してそう思ったように」
ただの恋愛小説じゃない。
恋愛小説はよく読むけど、ありきたりの話しじゃないかな。
というのが感想。
どうしようもない男を好きになってしまう主人公
あーもぅ、別れちゃえばいいのに、忘れればいいのに、と思う。
けど、人間、恋については、
理性でわりきれるほど簡単じゃないんだな、これが。
そんなことないだろ?
というひとは、そういう恋愛をしてないんでしょ?
とゆってしまうかも。
そういう恋愛って苦しいけど、
人をいっぱい成長させるのです。
人はそれに応じた代価を支払わなくてはならないということ」
「アイロニーって?」
「人が自らを、または自らに属するものを客観視して、
あるいは逆の方向から眺めて、
そこにおかしみを見いだすこと」
「僕の人生のモットーだ。
ゆっくり歩け、たくさん水を飲め」
「世の中には知らないでいた方がいいこともあるんだよ」
「私らの立っている地面いうのはね、
しっかりしているように見えて、ちょっと何かがあったら、
すとーんと下まで抜けてしまうもんやねん。
それで、いったん抜けてしもたら、もうおしまい、二度と元には戻れん。
あとは、その下の方の薄暗い世界で一人で生きていくしかないねん」
「それで思うんやけどね、人間ゆうのは、
記憶を燃料にして生きていくものなんやないのかな。
その記憶が現実的に大事なものかどうかなんて、
生命の維持にとってはべつにどうでもええことみたい。
ただの燃料やねん」
記憶はふとしたときに頭の片隅から湧きだすよなぁ。
思い出というのは、楽しいことも悲しいこともあるけど
それを燃料にしてひとは生きていく。
もし、記憶がすっかりなくなってしまったとしたら
抜け殻のように惚けてしまうのだろうなぁ。
悲しい記憶も燃料にして
蒸気機関車のように力強くいきたいな。
なあ、この曲はちゃんと誰かに届いているのかよ?
「いや、あいつがよく言っていただろう?
『人間が悪い部分は動物と異なるところ全部だ』って」
「『仕事が大事なら』と黒澤は自らに言った。
『会社員にでもなれば良かったんだ。そうだろ』」
「自分を犠牲にしてまで、国のことを考える政治家はいない」
「僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、
鯨でさえ逃げ出すに違いない」
「だいたいさ、正義なんてね、主観だからさ。
そんなの振りかざすのは、恐ろしいよ」
「僕の勇気が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと若さで、
陽光の跳ね返った川面をさらに輝かせるだろう」
「僕の挫折が魚だとしたら、そのあまりの悲痛さと滑稽さに、
川にも海にも棲み処がなくなるだろう」
本のタイトルと同名の「フィッシュストーリー」が1番よかった。
ネタバレになるので、あまり書けないけど
自分の行為が何年後、何十年後のだれかに
届くこともあるんだなと。
何事にも無駄や無意味なことはなく
いつかだれかに奇跡を起こしたり、
勇気を与えることだってあるんだ。
そんな風に思って生きるのも
素敵じゃないのかなーと思ったりして。
ひとに言っちゃいけないこと。
無駄じゃない とか 無意味だろ?
だろうと思う。。。
「世界には、神の仕業としか思えないことが時々現れるんだ」
「テレビも一種の宗教だ」
「優しいって字はさ、人偏に『憂い』って書くだろう。
あれは『人の憂いが分かる』って意味なんだよ、きっと。
それが優しいってことなんだ。ようするに」
「人は『恋愛ごと』と、『生死』に関すること以外であれば、
どんなに意外なことに直面しても、その程度の時間で、
現実を受け止められるのかもしれない」
「本当に大切なことは、もっと地味で退屈な生活の中にあるんです」
「世の中にはルートばかりが溢れている、とね。
人生という道には、標識と地図ばかりがあるのだ、と。
道をはずれるための道まである。森に入っても標識は立っている。
自分を見詰め直すために旅に出るのであれば、そのための本だってある。
浮浪者になるためのルートだって用意されている」
「俺の前で、『定義』という言葉を二度と使うなよ」
「世の中に大丈夫なんてことはないんだ」
「人間なんてなおさらだよ。
何十年も同じ生活を繰り返し、同じ仕事を続けているんだ。
原始生物でも嫌になってしまう。
その延々と続く退屈を、人はどうやって納得しているか知っているか?
『人生ってのはそういうものだ』
とな、みんなそう自分に言い聞かせているんだよ」
「でもな。人生については誰もがアマチュアなんだよ。そうだろ?」
「誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない。
まあ、時には自分が人生のプロであるかのような知った顔をした奴もいるがね、
とにかく実際には全員がアマチュアで、新人だ」
「はじめて試合に出た新人が、失敗して落ち込むなよ」
「分かり合おうとするから、辛いのかもしれない。
相容れないもの同士なのだ。
それを前提にすれば、気は楽だ」
人生は誰もがはじめて試合に出る新人選手なのだ。
人生にプロフェッショナルなんているわけがなく
みんなアマチュアなんだ。
という言葉に救われた。はっと気づかされる言葉。
だから、失敗したって怖れても仕方ないじゃないか。
輪廻転生というのはない。
一度きりであるから、存分に楽しまなきゃ。
もったいない。そうだろ?
ラッシュライフ = 豊潤な人生を。
「あの時ああしてれば、とか、こうしてれば、とかいうのは、
結局どっちを選んでいても同じような結果になるんだって」
「世界が終わろうと、隕石が降ろうと、髪は伸びる」
「やらなければいけないことを一つずつやり遂げていく。
一つやり終えたら、次のことが見えてくるから。慌てずに」
「世の中はさ、いろんな悪意で溢れてるから」
「おい俺、俺は、こんな俺を許すのか?」
「ニュースでやってることが全部、本当だったら世話がないって」
「勝ち組とかいう言い方って、品がなくて、嫌な感じだ」
「つらい真実って、本人に教えてあげるのと黙ってるのと、どっちが正解だと思います?」
「どっちも正解」
「外から見てる人はいろんなこと言えるけどね、考えて決めた人が一番、偉いんだから」
「自殺しちゃいけねえ理由なんて、知らねえよ、ばーか」
あと3年後に地球へ隕石が落ちる。
と決まっていたら、その3年間何をしますか?
永遠と思える時間から、期限付きの時間になったら
自分はどうするんだろ。
やけくそになるか。
それとも、おだやかに3年間を暮らすか。
それとも、いのちを捨てるか。
どうなんだろ。
突発的なできごとがおきても
そうなんだ、と落ち着いて聞いてしまう自分は、
3年と決まっていても穏やかに過ごすのを選択してしまいそうだ。
いっそのこと、沖縄の離島あたりで海を眺めながら過ごすのもいい。
あと、どのくらい生きるつもりなのか?
そう考えさせられる小説。
「いざという時にはやる、なんて豪語している人は、
いざという時が来てもやらない」
「もしかすると、強靭さとは、自信や力や技などよりも、
そういった穏やかさに宿るのかもしれない」
「悪徳の不動産屋も結婚詐欺師も、戦争を企む大統領も、
最初の一言はみんな、『相談したいことがある』だと思う」
「政治家が、私はやってない、って言う時はさ、たいてい、やってんだって。
汚職でも、裏金でもよ。
で、国民のためにやってる、っていう時はたいがい、やってねえんだよ」
「賢くて、偉そうな人に限って、物事を要約したがるんだよ」
「『自由演技って言われたけど、どうすればいいんだろう』
って頭を掻き毟って、悩みながら生きていくしかないんだと、わたしは思う」
「思い出は作るものじゃなくて、勝手に、なるもんなんだよ。
いつの間にか気づいたら思い出になってる、そういうものだよ」
伊坂幸太郎の文章には、ユーモアと警笛が書かれていて
読んでいておもしろい。
その視点で物事を考えるとは、恐れ入りました、というのもある。
人生は自由演技。
宗教というのは、その舞台で何をすれば幸せになるかと
いう道しるべを示してくれる。
だから、人はその台本にしたがっていけば
幸せに人生を過ごしていけると願い、心が安らかに穏やかになるんだろう。
でも、頭を掻きむしって、「わかんねぇー、どうすればいいんだよ」と
悩みながら、道を選択していくのがあるべき姿なのかも。
自分で選択した道は後悔しないから。
誰にでも好かれる好青年ってとこでしょうか... read more
on 夏空に、きみと見た夢